🎓 What I thought 🎓
METAL GEAR SOLID 4 GUNS OF THE PATRIOTSというゲームがある。
このゲームの冒頭は老兵のこのような語りから始まる。
戦争は変わった。国家や思想のためではない。利益や民族のためでもない。
金で雇われた傭兵部隊と造られた無人兵器が果てしない代理戦争を繰り返す。
「金で雇われた傭兵部隊」はPMC(Private Military Company; 民間軍事企業)と呼ばれる民間企業のもとで組織されたものだ。金を稼ぐために戦争をする民間企業が、なんの大義も目的もない戦争を繰り返す。そんな世界の話が繰り広げられる。
このゲームはPMCを拡大しようとするリキッド・スネークなる人物の暗殺を依頼された主人公ソリッド・スネークが、さまざまな困難を乗り越えあらゆる謎を解き明かしながら任務を遂行する壮大なストーリーである。が、それを語っていると永遠に話が終わらないのでここではこのゲームの話は割愛する。
このゲームの世界観の裏付けには、人命が重要であり政府が兵士を戦地に送ることが困難になったという設定がある。一見すると戦争がなくなりそうな設定だが、事態はむしろ逆方向に進んでいく。争いを鎮圧するために国が軍を主導できないからこそ、争いを治めるために民間企業に戦争を委託することになってしまう。そして自由市場の原理が悪い方向に働き、金儲けという戦争をするための絶対的なインセンティブが発生する。そのためにむしろ戦争は増えるし長期化もする、そんな設定だ。
存在しない争いを継続して作り出し、発生した戦争に軍事力を供与し対価を得る。まさにマッチポンプである。軍事力を民間企業の理屈で供与すると、戦争が終わらないことが最適解になってしまうのだ。
さて僕はPMCなんて言葉はもう何年も忘れていた。ゲームの中だけの存在であると思っていた。
それはそうだろう、実際にはそんな存在は目立たない。あるのかもしれないが、数年前にこんなことを話題にしていたら陰謀論者を見るような奇異の目で見られていたことだろう。
しかし、いまは現実で連日報道され話題になっているPMCがある。ロシアのワグネル・グループである。このニュースレターでもたびたび話題に出しているウクライナ侵攻だが、そこに実はPMCであるワグネル・グループが軍事力を供与しているという。
下記のテレ東の動画では、勝利の証として国旗ではなくグループの旗をあげる姿が映し出されている。
ウクライナ侵攻だけではない。ロシアはいまアフリカ諸国への影響力を強めているが、その背後でもワグネル・グループが動いているという1。
戦争それ自体は僕が生きている間もあった。僕は 9.11 のときに既に小学生だったし、イラク戦争をテレビで見ていた2。良いわけはないがこれも現実だと子どもながらに思っていた。
しかしPMCがあると聞いた時に、僕には戦争は変わったと嘆く老兵の声が聞こえた。なにかとんでもない一歩を人類は進んでしまっていたのではと思った。
資本主義はあらゆるものを商品にしていった。いまや人との出会いや絆さえも商品である3。しかし、軍事力までも商品となるのかと驚いている。少なくとも日本において軍事力(暴力装置)は商品ではない4。軍事力が売り買いされる世界がどんな世界なのか、僕には想像も及ばない。
市場原理のもとでPMCを運営すれば、争いが発生すれば発生するほどPMCは儲かる。そう、安直に考えればMETAL GEAR SOLID 4の世界のような果てしなく代理戦争を繰り返すことで果てしなく儲けることができるロジックが成立してしまう。
そして現代にはソーシャルメディアがあり、存在しない争いを作り出すことは不可能ではない。数週間前に、イスラエルの民間企業が過去に30以上もの選挙結果を操作したことがあるという調査報道があった。対立を深め争いにつなげるために人民を扇動することは、残念ながらそこまで難しいことではないかもしれない。
ソーシャルメディアとPMCを結託させれば、世界をめちゃくちゃに壊しながら、しかしお金を稼ぐことはできそうだと妄想したりする。それができる世界になった、ということが何を意味しているのだろう。
一方で、現実に軍事力を買っている人が得ているもの、欲しいものが何なのかという視点も忘れてはならない。実は販売されている軍事力の買い手であるブルキナファソの人々が本当に欲しているものは治安や平和である。当たり前だ。銃や兵士を雇いたいのではなく自分の身の安全を保障したいのだ。
News Connectによれば、ブルキナファソでロシアに支持が集まっているのは彼らが治安や平和をもたらしてくれると信じていて、実績もあるからだという。仮にプロパガンダだとしても、そう思っている人がいることに変わりはない。
さて、果たしてなにがどうなればいいのか、さっぱりわからない。反射的には軍事力を商品にするなんてと思っていたが、知れば知るほど、考えれば考えるほど、なんとも言えなくなる。
同じPMCという言葉でも、ゲームをやって戦場というものを疑似体験し、英雄に憧れていた15年前とは全く違う響きで聞こえてくる。
15年前、SF作品を愉しむようにこのMETAL GEAR SOLID 4を見ていた。話の半分もわかっていなかった中学生の僕だけど、戦争をしてはいけないのだという現実とは独立に兵士に、強い男に、英雄に憧れる僕はいた。その心に嘘はない。老兵スネークはかっこいいし、火器・銃器や無人兵器もゲームの中で動いている限りはかっこいいのだ。今でもそう思う。
しかし、いま現実に何万人という兵士が動員され、兵士だけでなく何千人という民間人までもが亡くなっている。塹壕を掘って身を守り、ドローンが殺戮を繰り広げる。
その映像に何の憧れも抱かない。
METAL GEAR SOLID 4の発売した年は2008年らしい。奇しくもロシアがジョージアを併合した年と同じだ。この15年間、世界は何をしていたのだろう。
そして、この世界はどこへ行くのだろう。
💼 Where I visited 💼
靖国神社に行ってきた。言わずと知れた、九段下にあるあの神社である。
靖国神社というとどうしても戦争犯罪人が祀られているというイメージだが、実は明治維新前後から太平洋戦争終結後にかけて、日本の近代化における動乱期に戦乱に巻き込まれて命を落とした方が祀られている。男性だけでなく、女性も祀られていて実は対象はかなり幅広い。
靖國神社には、戊辰戦争(戊辰の役)やその後に起こった佐賀の乱、西南戦争(西南の役)といった国内の戦いで、近代日本の出発点となった明治維新の大事業遂行のために命を落とされた方々をはじめ、明治維新のさきがけとなって斃れた坂本龍馬・吉田松陰・高杉晋作・橋本左内といった歴史的に著名な幕末の志士達、さらには日清戦争・日露戦争・第一次世界大戦・満洲事変・支那事変・大東亜戦争(第二次世界大戦)などの対外事変や戦争に際して、国家防衛のためにひたすら「国安かれ」の一念のもと、尊い生命を捧げられた方々の神霊が祀られており、その数は246万6千余柱に及びます。
とても有名な場所だけれど、今まで行ったことがなかった。散歩していたときにたまたま通りがかり、そういえば日中戦争の本を読んだしなと思い参拝することにした。
なんかどことなく荘厳な感じがして少し緊張したと思う。
奥に戦馬の銅像があり、日中戦争全史に書かれていた陸軍兵士の馬とのエピソードを思い出して目頭が熱くなった。
他にも結構境内が広いとか、でかすぎるくらいでかい鳥居があったりとか、食事処があったりしてよさそうとか、行って初めて感じられることがとてもたくさんあった。来てよかったなと思ったし、まだ見きれていないところもあるのでもう一度行きたいと思う。
帰り際、女の子が「お腹すいた!」と叫んでいてとても微笑ましいと思った。これが平和というものの素晴らしさかな。
Official髭男dismのSubtitleという曲を最近よく聞いている。フジテレビの前のクールのドラマsilentの主題歌らしい。言う必要もないと思うけどドラマは見ていない。
ヒゲダンの曲はなんかハマる曲とハマらない曲があって、Subtitleは僕にはハマる曲である。たぶんこういう構成の曲が好きで、ずっと真夜中でいいのに。の「蹴っ飛ばした毛布」っぽい。
語彙力がないけど、最初しっとりと入っていくのだけどサビやCメロ以降で序盤からは想像もつかないような激しさで畳み掛けるような感触がちょっと似ていると思う。自分で書いて思うけどあまり賛同を得られないと思う。
ずっとポッドキャストばかり聴いてて音楽聴く時間がないなと思っていたんだけど、ちょっとは音楽を聴く余裕?ができた。とはいえずっと同じ曲ばかり聞いていることには変わりはない。どうやって音楽を開拓すればいいのかはやっぱりさっぱりわからない。
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直接の関係はないと思われるが、中国もアフリカで存在感を強めている。
その意味がわかっていたとは、そして今もわかっているとは言い難い。
それは一概に悪いことばかりでもないので評価は難しい。
暴力装置とは警察や軍のような国家により制度化された暴力の形態のこと。警察や軍は誰かがお金を払ってサービスしてもらうものではない。