#69 プロダクトは事業ではないし、事業はプロダクトではない
iPhoneを売る事業はあっても、iPhoneという名前の事業はない。
プロダクトと事業
めちゃくちゃ当たり前のことを書くが、プロダクトは事業ではない。逆もそうで、事業はプロダクトではない。
AppleはiPhoneを売っている。AppleのプロダクトはiPhoneだ。しかしiPhoneは事業ではない。
Appleの事業(のひとつ)はハードウェアの製造・販売だ。事業としてiPhoneを売っている。しかしiPhoneを売ることはプロダクトではない。
なんでこんな至極簡単なことを書くのかというと、事業とプロダクトが同一視されている状況を僕がよく目にしていたからである。そして先日もその同一視している人と会話をした。
ごく自然に事業とプロダクトを一部の界隈では同一視している。理由はわからない。
ソフトウェアプロダクトの開発をしている組織に属している人においては顕著だろう。そういう組織ではプロダクトマネージャーが事業成果に責任を持っていることがあり、そもそも事業責任者というロールがないことがある。
この同一視はそこまで不合理なものではない。そのプロダクトをグロースさせることがその会社の事業だからだ。
成り立たない同一視
しかし、現実にはプロダクトそれ自体では事業は成り立っていない。
何度も同じ例を言うが、iPhoneは事業ではない。iPhoneのハードウェア的なスペック、ソフトウェア(OS)の機能、価格付けなどは事業において重要事項だ。しかし、iPhoneを売るにはiPhoneそれ自体以外にも考えることがある。例えばロジスティクス(どうやって世界中のApple Storeに商品を供給するのか?)、マーケティング(商品発表をするときにどの部分をどう紹介するべきか?)などだ。事業を担当するということは、たとえものを売っていたとしてもそのプロダクト以外のことを考える必要がある。
これはソフトウェアプロダクトにおいてもそうだ。僕がよく例に出すBtoB SaaSであれば、セールスはとても重要なファクターだ。プロダクトの品質をどれほど高めたところで、まだ使っていないユーザーに買うという決断をさせるには人間を介さないとこのご時世でも難しい(Product Led GrowthはBtoB SaaSの世界ではまったく一般的でない)。事業として成り立たせるためには、セールスを考えないわけにはいかない。
しかし、事業とプロダクトを同一視することによってこの違いが分かりづらくなっているのではないかと思う。プロダクトマネージャーだからといって、プロダクトばかりに気を払えばいいわけではない、という状況が起きるのはこのためだ。
プロダクトそれ自体を磨くことに価値がないわけではない。しかし事業全体で見たときに、必ずしもプロダクトがボトルネックではないことがよくある。
営業プロセスに問題があるのかもしれない。カスタマーサクセスが機能していないのかもしれない。もちろん答えは状況によるが、プロダクトを提供して対価を貰う事業でも、プロダクト以外のことが原因で結果がでないことなどよくある。
その場合、事業責任者というロールがない組織であればプロダクトマネージャーがプロダクト以外のボトルネックを解消しにいくことになる。
僕のスタンス
僕のスタンスとしてソフトウェアエンジニアは、というより会社員は1事業にコミットをするのがいいと思う。プロダクトにコミットするのではなく。
僕は常に事業のボトルネックにいたいと思っている。なぜなら、究極的にはそれが1番自分のためになると思っているからだ。
ボトルネックにいるということは、結果を左右できる最先端にいるということだ。そこが変われば、全体の構造がまた変わる。新たな試行錯誤を増やすことになる。
最近、AIエージェントで開発のボトルネックはコードを書くプロセスから別のプロセス移動した。しかし、だからといってすぐには何も変わらない。新しい問題が顕在化し、新しいボトルネックができたり、却って個別最適を生んでしまうだけだ。
だからこそ、新しいワークフローを組んでボトルネックが移動したあとの開発フローを整備していく必要がある。
事業でも一緒だ。結局、結果を左右するのはボトルネックの活用と継続的な改善だ。この2つしかない。それ以外にやることなんかない。
であれば、ボトルネックに近いところに居続ければ自ずと仕事ができるようになるだろう。そう踏んでいる。そして仕事ができなくてヒーヒー言っている。
そんな近況。
今週のポッドキャスト
今週は報談のイラン戦争についての回。
このポッドキャストでも話しているが、そもそも戦争に関する情報はそんなに頻繁に触れないほうがいい。この記事を読んでいる方は、戦地の近くにはいない方が多いと思うからだ。
自分の心と体のことを1番に考えてほしい。
僕はもう政治についてSNSなどで見なくなったから、SNSやYouTubeなどでどんなことが言われているのかよく知らない。知ったほうがいいのかもよくわからず、知らないままでいようと思っている。
結局、僕は一周回って新聞社のコンテンツばかり最近見聞きしている。テレビさで通り越して新聞だ。手放しで信用ができるわけじゃないが、少なくともそれ以外よりはマシな気がしている。
会社員じゃない人は、例えば個人事業主とかだと思うが、そう言う人はぜひ好きなことをしていてください。僕がなにかをいう筋合いはまったくないことはわかります。


