この記事が公開される翌日、30歳になるらしい。前にもこの話題で記事を書き出したことがある気がする。
昔、30歳を機会に人生を振り返る記事を書こうかと思っていた時期があるのだけど、いざ本番に近づいてもまったく行動を起こさなかった。よって、自明な帰結として特に記事の準備はない。
30は十進法だとキリがいいが、二進法だと別にキリがいい数字でもないので、32歳になったら振り返ればいいかと言い訳している。これはもちろん冗談であり、たぶんこの調子だと32歳になっても振り返らないと思う。
30年である。
30年というこの期間に思いを馳せてみて、思いつくままに書き連ねてみる。
バブル崩壊があってオウム真理教といったカルトによるテロがあったりと波乱の幼年期だった。つまりなにが言いたいかというと、特に僕の記憶に残っていることはない。
小学生のときには新自由主義のあおりを受けて小泉構造改革の時代があった。「自民党をぶっ壊す」の真の意味を知るのは僕が20代も後半になってからである。あれは経世会をぶっ壊すという意味だった。
小学校は嫌いではなかったが、別に好きでもなかった。僕は大して賢くもなかったし、かといって運動ができるわけでもなかった。子供らしい振る舞いをするわけでもなかった。
中学生のときには立て続けの首相交代で政権交代に向け世論が白熱し、リーマンショックで世界経済が混乱した。僕は何が起きているかよくわからんが社会に対する怒りみたいなものを強く感じたのを覚えている。
それはそれとして、ずっとモンスターハンターをやっていた。本当に数千時間やったんじゃないだろうか。おかげで、これ以降あまりゲームをしなくなった。
そして無事高校入試で志望校に合格した。そしてその直後に実際に政権交代が起きた。当時の部活の先輩と「どうせうまくいかないよな」という話をしたのを覚えている。修学旅行の新幹線を降りたら鳩山首相が辞任するって号外が配られてた。
世間はAKB48の総選挙で、前田なんとかとか大島なんとかとかが世間を席巻していた頃に、僕は何もアイドルに興味がなかった。本当に何にも興味がわかなくて、ただひたすらに勉強だけしていた。
勉強しているときだけが、ひとりでいられて楽だった。孤独とは自由であり、自分を制約するのは他者であるという観念が僕の心に染みついているのはたぶんこの頃のせいだ。
大学生になった。ひょんなことから数学をやり始めた。
この経験は良かったと思う。年単位で数学だけについて考えられたのはよかった。しかし、いま思うととてももったいない時間の使い方をしたとも思う。もっとちゃんと数学をすれば良かったと思うが、たぶんもう一度数学をやることもないと思う。
社会人だから時間がないとかではない。どうも、そこまで向いていなかったんだなと今なら思う。
さてひょんなことからプログラミングを始め(僕はパソコンが苦手だった)、なぜか気がついたらスタートアップに就職し、なぜか気がついたらソフトウェアエンジニアとしてガンガン働いている。
そんな感じの人生である。そして今はもうやりたいことがなくて、暇つぶしに歴史の勉強をしておもしれーって言っているだけの人生だ。
あぁ、あととうとう英語を勉強し始めた。シャドーイングって難しいね。どれくらい難しいのかなと思って試しに日本語のラジオ聞きながらシャドーイングしてみたけど、それでも完璧にやるのは結構難しかった。
何の話?
まぁこんな感じの人生だった。
ストーリーにすれば、ストーリーにできることはたぶんもっとある。森博嗣にハマった話だったりもできなくはない。他の話で思い浮かんだこともちらほらある。
だけど、別にどんな人の人生も面白くストーリーに仕立てれば面白くなるのだし、逆にどんなすごい人でもつまらない見せ方をすればつまらないのだと思う。
要はホモサピエンスがストーリーを心地よく感じるという話で、理由がないと納得しないし心地よくないのだ。居心地の悪い状態に人間が耐えられないだけなのだ。
ウクライナ戦争が始まったから僕はこう考えるようになったというエピソードを先日職場で話した。しかし、これは嘘だ。そんな綺麗なストーリーではない。
しかし、ウクライナ戦争がたまたま起きたから、僕はストーリーにそれを組み込んでいる。その方が相手に説得力を持たせられると思い、そのように僕は演出をした。
人の認識なんて所詮その程度のものだ。どれくらいその程度のものなのかは、旧約聖書でも読めばわかる。馬鹿にしているわけではない、人間は納得のいくストーリーさえ提供されれば、そしてそれに納得していれば、そのストーリー自体の真偽には別に興味はないのだ。
たとえ、我々のような合理的に考えることを是としている近代人であっても。
そしてこの記事もどこにもいかないで、居心地の悪いままに終わっていく。
5月はいってすぐに公開できるかはわからないけれど、今の会社に入社して3年経った話をそのうち書くと思う。そこではきっと、真面目にストーリーを書く未来の僕が記事を公開してくれると思う。